食事療法とは
食事療法とは、治療法の1つであり日々の食事を改善することで症状の改善に繋げていく治療方法のことを言います。糖尿病における食事療法は、特別な食事を必要としないため取り組みやすい治療法になります。
糖尿病の食事療法は3点抑えれば大丈夫
食事療法は、食事に関する様々なことを改善することで、糖尿病の症状改善へ繋げていく治療法です。そのため、キチンとポイントを抑えて実行しなければ効果が出なかったり、逆効果になってしまう場合もあります。
しかし、抑えるべき重要ポイントは大きく3点だけで、かつ当たり前のことなので実行は容易です。
また、このポイントは、ダイエットやメタボ対策等にも流用可能ですので、糖尿病を未然に防ぐために同様に食事を見直してみると言うのもいいでしょう。
抑えるべき3点は以下になります。
- 適正な摂取カロリーに保つ
- 1日3食決まった時間に摂取する
- 栄養バランスを偏らせない
非常に当たり前の項目が並んでいると思います。
これらを実践するだけで食事療法として成り立つのです。
それぞれについて、以下詳しく説明していきます。
適切な摂取カロリーに保つ
適正体重に保ちながら、必要なエネルギー量の食事をとることを心がけます。
自分にとってどれぐらいのエネルギー量(カロリー)が必要なのかはお医者さんが決めることですが、決定には性別や年齢、仕事内容、現在の肥満度合いなどが影響してきます。そのため、一概に「男性30代はこの体重!」という表現はできません。
しかし目安の算出方法は存在します。
現在糖尿病の方はお医者さんの指示に従ったカロリー量にして頂くの鉄則ですが、糖尿病予備軍かな?と気になっている方は、以下の算出方法を目安に日々の摂取カロリーについて気を配ってみてください。
標準体重(kg) = 身長(m) × 身長(m) × 22
身体活動量(体重1kgあたり)※1
- 座り仕事 25~30
- 立ち仕事 30~35
- 力仕事 35~
例:身長170cmで少しハードな立ち仕事の場合(立ち仕事を35で計算)
1.7 × 1.7 × 22 = 63.6
63.6 × 35 = 2226
よって、約2200kcalが必要エネルギー量となります。
※1 身体活動量は、日常生活の通勤等を含む運動量の指標で厚生労働省で言及されている運動量の指針です。算出されたカロリーが日常生活に必要な摂取カロリーの目安になります。
例えば、座り仕事で標準体重に比べてやや肥満の方は、目安の摂取カロリーはそのままに身体活動量を立ち仕事の活動量に増やすなど、消費カロリーを増やすことでエネルギー量を確保しつつダイエットが出来るということになります。
1日3食決まった時間に摂取する
乱れた食生活は急激な血糖値の上昇や下降を招き肥満の要因や糖尿病の悪化に繋がります。
これは、食後の急激な血糖値の上昇や、空腹状態の期間が長くなることによって栄養素を溜め込もうとする体の働きによって吸収量が増加し、体脂肪が付きやすい体になるためです。
正しい食事の取り方は、朝食を抜かず、朝昼の活動時間帯はしっかりとエネルギー量を確保し、夜は運動量が低下するため摂取エネルギー量を抑えるという食べ方になります。
意識せずに食事をするとついつい夕食を食べ過ぎてしまい、人によっては朝を抜くという食生活になってしまいます。
これは、空腹時間が長くなり体脂肪が付きやすい体質になり、体脂肪が燃焼しにくい夜にエネルギーが多く蓄えられるため肥満を加速する要因になります。
また、食事のタイミングも可能な限り一定に保つことが重要です。
決まった時間に決まった量のカロリーを摂取することで、体がエネルギー消費のリズムを正しく作ると共に、自律神経の乱れ等が改善される効果が期待できます。
栄養バランスを偏らせない
適切なカロリー量に保っていたとしても、栄養素が偏っていると必要な栄養素が不足してしまいます。そのため、栄養素の偏りをなくすために決められた摂取量を元にバランスよくいろいろな食品を摂ることが大切になってきます。
たんぱく質やミネラル、脂質やビタミンなど過不足なく摂取することが大切です。
これらバランスの取れた食事を行うためには、次の6つの種類の食品をバランスよく摂ることが大切です。
- 炭水化物(穀物)
イモ類やとうもろこし、蓮根など根野菜があります。
食物繊維が多いものを積極的に摂取するとよりよいでしょう。
- 炭水化物(果物)
リンゴやみかん、バナナなどがあります。
缶詰等は、糖度が高くビタミンが少ないため控えるほうがよいでしょう。
- たんぱく質(肉類)
肉類、魚類、卵、チーズや大豆になります。
干物などの加工品は食塩量が多くなるため、控えるほうがよいでしょう。
- たんぱく質(乳製品)
牛乳や無糖ヨーグルトなどになります。
カルシウムを摂るのに重要な役割を果たします。
- 脂質
ゴマやピーナッツなどの種実類やばら肉などの脂肪分の多いお肉になります。
動物性、植物性が偏らないように適量摂取することが必要です。
カロリーが高く摂りすぎると動脈硬化など原因にもなりますので少量で摂取量の範囲を守りましょう。
- ビタミン・ミネラル
葉野菜などがここに分類されます。
いろいろな種類を組み合わせて300g程度摂取するのがよいとされています。
また、一度の食事ですべて摂取するのではなく3度にわけて摂取するのが大切です。
正しい食事で糖尿病を改善しよう
食事療法は、取り組みやすい糖尿病対策や療法になります。
また、ダイエットなどを行う際もこれらの情報を参考に行うと栄養の偏りなく健康的に実施できるため日々の生活に取り入れるのもよいでしょう。
安定した食事は生活の基盤であり、日常の楽しみの一つでもあります。
メニューや摂取カロリー等を自分で管理するのが少し大変ですが、食事を我慢するのではなく、美味しく食べながら取り組んでいくことが大切です。現在は宅食による栄養士監修のメニューがあったり、会社の食堂や外食チェーン、お弁当チェーンでも専用の低カロリーメニューが存在します。
これらをうまく活用して、日々の生活で必要な栄養と過不足ないエネルギーを摂るようにしましょう。